みなさんはじめまして。この度SHIKIの広報担当となりました、河野(かわの)です。
私自身、日本のものづくりや伝統工芸に興味があり、職人の方の技術や日本文化の魅力をもっと多くの人に伝えていきたいという思いがあります。
SHIKIは家具産地で知られる大川市で家具を製造するメーカーであり、日本の繊細な感性や美しさを家具としてかたちにすることをコンセプトとしています。
沢山の人の手によってつくられる、日本の美を表現した家具・・・
まさに私が携わりたかったジャンルそのもので、その魅力を発信して1人でも多くの人に知ってもらいたいと思い、SHIKIに入社しました。
家具業界に勤めるのも、広報という仕事も初めてで、まだ右も左も分からない状況ですが、どうかあたたかく見守っていただけますと幸いです。
MITSUKIやtotteで使用している「センダン」という木。みなさんはどんな木かご存知ですか?
恥ずかしながら、私はSHIKIで働き始めるまで名前すら聞いたことがありませんでした。
木製家具を製造するメーカーに勤めている以上、取り扱っている木について深く知る必要があると思い、先日とある展示会へ行ってきました。

『 生センダンと焼センダン 比較展ー触れて、知る。早生樹の可能性ー』
(主催:福岡県工業技術センターインテリア研究所)
インテリア研究所の職員さんの研究発表の場で、いろんなお話しを直接お聞きすることができました。
センダンとは?
センダンは成長が早く程よい硬さを持ち大きく育つ樹木で、樹高は約15m~30mにも達する国産の広葉樹です。日本の比較的暖かい伊豆半島以西に自生しており、主に四国や九州に多く分布し、大川市でもあちこちで見られます。
大川市ではセンダンの植樹や普及に取り組むプロジェクト『SENDAN』を2018年から始めています。15年~20年後を見据えての活動ですので、実はまだまだセンダン材という材料は希少で手に入りづらいというのが現状です。

センダンの特徴①育つスピードが早い
センダンは広葉樹でありながら成長が早く、植林して20年〜30年ほどで伐採できるまでに成長する早生樹として近年注目されています。針葉樹である杉やヒノキと比較しても約2〜3倍の早さで伐採できるため、林業の活性化に繋がります。成長が早いため密度が低くて軽い、木目が大胆なのも特徴です。
センダンの特徴②二酸化炭素の吸収量が多い
センダンは一般的な広葉樹と比べCO2の吸収能力が約3倍高いと言われています。センダンを植樹し活用することで地球温暖化の進行を抑える役割も担っており、サスティナブルな木材とも言えます。
センダンの特徴③色味の個体差が激しい
センダンは基本的に明るい色のものが多いですが、白っぽいものから褐色、グレーがかったものなど、個体差によってその色味はバラバラ。SHIKIではできるだけ安定した品質でお届けできるように考慮して作っています。
焼くことで生まれる新しい可能性
先述した『SENDAN』プロジェクトに取り組む各メーカーからも「色味のバラつきが大きく、使いにくい」といった声があるみたいです。
そんなバラつきを”焼く”ことで整えて、明るい色だけではない新しい魅力を引き出し、ある樹木の代わりにならないか?という研究をさたそうで、とても興味深い内容でした。
研究のきっかけは”ウォールナットの代替として使えないか?”
世界三大銘木のひとつであるウォールナットは、深みのある色味と美しい木目で人気の木材です。
しかし、成長が遅く希少であることや、使用できる部分が限られていることから、高値で取り引きされています。
今はまだセンダンも希少な樹木ではありますが、植樹活動や普及活動が進み供給量が増えれば、安定してセンダンの家具を作ることができ、ウォールナットよりも低価格で提供できるのでは?という想定をたてられたとのことです。
実際に比べてみると・・・

無垢材に関してはやや色味に差を感じましたが、オイルフィニッシュ・ウレタンフィニッシュはぱっと見ウォールナットのようでした。
焼くことで中の水分が抜けるため、重量はウォールナットより軽くなるという結果に。
印象評価としては、『モダン』や『和モダン』のスタイルによく合うそうです。
ちなみに生センダンはスギと似たような色味で、ナチュラルな印象です。

また、センダンは焼くと加工しやすくなるとのことで、今回はNC加工を例に挙げて研磨前と研磨後を比較。
生センダンは肌目の粗さが目立ち、研磨をかけることで粗さを抑えられますが、
焼センダンは研磨をかけなくても滑らかな触り心地でした。つまり、研磨の時間を短縮できるというメリットが生まれるのです。


カンナくずで香りを比較すると、生はいわゆる木の香りといった、やわらかくリラックスできる香りでしたが、焼からはヨーグルトやレアチーズケーキのような、酸っぱさに少し甘みが加わったような香りがして、不思議な体験でした。美味しそうな香りだったなぁ・・・

ここからが今回のメインである「焼センダンを使ったコンセプト家具の展示」です。

左側は、言葉の連想ゲームから生まれた「枯山水」がキーワードのジャーナリングテーブル。
右側は、AIとの対話の中で提案された「エモーショナルファニチャー:感情に寄り添う家具」という言葉を元に、香りを存分に感じられるように作られたサイドテーブル。
ジャーナリングテーブル
ジャーナリング(書く瞑想)とは、頭に浮かぶ感情や思考をそのまま紙に書き出して心を整える習慣のことで、朝起きたときや夜寝る前などに継続して行うと自己理解が深まり、ストレス解消に繋がるのだそう。
枯山水が水を使わずに石や砂などで山水を表現するように、センダンの木目を滝に見立て、岩肌に水が当たって流れていく様がスリットで表現されています。
自分の心のなかにある言葉を書き留め、ありのままの自分と向き合う数分間にそっと寄り添ってくれるテーブルです。


サイドテーブル
感情と香りは密接な関係にあり、自分の好きな香りや直感的に心地よいと感じる香りを嗅ぐのは、リラックス効果を得るのに有効な手段です。側面にディフューザーが置けるスペースを設け、視覚的なノイズを遮断して香りだけを存分に感じられる構造です。
反対側にはA4サイズが収まる機能性を備えつつ、コンパクトな奥行きで置き場所に困りません。
焼センダンのダークトーンで落ち着いた色合いは、リビングやベッドルームなどのリラックス空間にマッチします。


焼センダンの可能性と課題
木材を焼くという大胆な発想は私にとって衝撃的なもので、それが既存の種類の代替に成り得る可能性があることに希望を持てますが、課題もあるそうで。
成長が早いセンダンは、自重や風の抵抗に耐えられるように外側の新しい層が内側の古い層を強力に締め付けるような構造です。それにより内部応力が大きくなり、加工した後に反りやねじれが発生する原因になります。
焼くことでより乾燥し、生に比べて密度が減り強度が弱くなってしまうため、現段階では小物やサイドテーブルに使用するのが良いだろうというのが職員さんの見解でした。
身近な地で今も成長を続けるセンダンと、どう付き合っていくか。
サスティナブルな未来へ向けて、活用を続けていきたいものです。
SHIKIでは現在2つのシリーズでセンダンを使用しています。
今後展開が広がる可能性もありますので、ぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。